あらすじで読む日本の名著 3』 目次
前のページに戻る


にごりえ
(にごりえ)
 
 樋口一葉(ひぐちいちよう)  080/I95/31-025-1
 ああ嫌だ嫌だ嫌だ、どうしたなら人の声も聞こえないものの音もしない、静かな、静かな、自分の心も何もぼうっとして物思ひのない処へ行かれるであろう……

ヰタ・セクスアリス』  (いた・せくすありす)
 
 森 鴎外(もりおうがい 918.6/Mo61/4 
 世間の人は性欲の虎を放し飼いにして、どうかすると、その背に騎って、滅亡の谷に堕ちる。自分は性欲の虎を馴らして抑えている。

病牀六尺』    (びょうしょうろくしゃく)
 
 正岡子規(まさおかしき) 080/I95/31-013-2
 木病床六尺、これが我世界である。しかもこの六尺の病床が世には広過ぎるのである。

我が輩は猫である』 (わがはいはねこである)
 
 夏目漱石(なつめそうせき)  918.68/N58/1
 我が輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所で泣いていた事だけは記憶している。
婦系図』     (おんなけいず)  泉 鏡花(いずみきょうか) 080/Sh61/6506
 「未来で会え、未来で会え。未来であったら一生懸命に縋り付いて居て離れるな。……」
武蔵野』      (むさしの)
 
 国木田独歩(くにきだどっぽ) 918.6/Ku44/12
 今の武蔵野は林である。林は実に今の武蔵小野特色といっても宜(よ)い。
墨東綺』     (ぼくとうきだん)
 
 永井荷風(ながいかふう)  918.6/N14/20
 「あなた。髪結いさんの帰り……。もう三月になるわネエ。」
城之崎にて』  (きのさきにて)
 
 志賀直哉(しがなおや) 918.6/Sh27/24 
 生きていることと死んでしまっていることと、それは両極ではなかった。それほど差はないような気がした。
子をつれて     (こをつれて)
 
 葛西善蔵(かさいぜんぞう)  080/I95/31-056-1
 「貧乏といふことはいヽことだが、貧乏以上の生活といふものは呪うべきものだ」
或る女        (あるおんな)  有島武郎(ありしまたけお)  080/Sh61-1・2/25・26
 「……きまぐれでもしなければ生きて生けなくなるんです。……」  
風の又三郎』    (かぜのまたさぶろう)
 
 宮沢賢治(みやさわけんじ) 080/Sh61/4191 080/Ka14/7381
 どっどどどどうど どどうど どどう、 青いくるみも吹き飛ばせ すっぱいかりんもふきとばせ どっどどどどうど どどうど どどう
山月記
(さんげつき)
 
 中島 敦(なかじまあつし) 080/Sh61/1895
 最早、別れを告げねばならぬ。酔わねばならぬ時が、(虎に還らねばならぬ時が)近づいたから、と李徴の声が言った。

細 雪』      (ささめゆき)
 
 谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう)  080/Sh61-1・2・3/891  
 いとせめて 花見ごろもに 花びらを 秘めておかまし 春のなごりに

地獄変』     (じごくへん)
 
 芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ) 080/Sh61/1805
 「私は総じて、見たものでなければ描けませぬ。もし描けても、得心が参りませぬ。それでは描けぬも同じ事でございませぬか。」
俊 寛』      (しゅんかん)
 
 菊池 寛(きくちかん) 080/I95/31-063-1
 船はみるみる裡に(うち)に小さくなって行く。俊寛は岸壁の上に立ちながら、身を悶(もだ)えた。もう声は、少しも出ない。
あにいもうと』     (あにいもうと )
 
 室生犀星(むろうさいせい) 918.6/Mu74/33
 「おれはもんの兄なんだ、きみも妹をもっていたならおれのしたことくらいはわかる筈だ」
千羽鶴』      (せんばづる)
 
 川端康成(かわばたやすなり) 918.6/Ka91/40
 「死んだ人はゆるしてさえいただければ、それだけでいいと思いますの。母もゆるしてもらいたくて、死んだのかもしれませんわ。母をゆるしてやっていただけますの?」
ビルマの竪琴』     (ビルマのたてごと)
 
 竹山道雄(たけやまみちお) 913.6/Ta68/7
 私は日本には帰りません。そういう決心をいたしました。
富岳百景』     (ふがくひゃっけい)
 
 太宰 治(だざいおさむ) 080/Sh61/633
 富士には、月見草がよく似合う。
桜の森の満開の下 (さくらのしたのまんかいのした)
 
 坂口安吾(さかぐちあんご) 080/I95/131-182-2
 花の下では風がないのにゴウゴウ風が鳴っているような気がしました。そのくせ風がちっともなく、一つも物音がありません。
夏の花』     (なつのはな)
 
 原 民喜(はらたみき) 080/Sh61/2137
 このことを書きのこさねばならない、と、私は心に呟(つぶや)いた。
二十四の瞳』     (にじゅうしのひとみ)
 
 壺井 栄(つぼいさかえ) 918.6/Ts15/76  
 この瞳をどうしてにごしてよいものか!
焼跡のイエス     (やけあとのイエス)
 
 石川 淳(いしかわじゅん)  918.6/I76/69 080/Ko19/購文1
 わたしがまのあたりに見たものは、少年の顔でもなく、狼の顔でもなく、ただの人間の顔でもない。それはいたましくもヴェロニックに写り出たところの苦患にみちたナザレのイエスの生きた顔にほかならなかった。
小説智恵子抄』     (しょうせつちえこしょう)
 
 佐藤春夫(さとうはるお) 080/Ka14/2110
 「あんまりいいお天気だから、わたし空を探しに行ってきましたのよ。……」
仮面の告白』     (かめんのこくはく)
 
 三島由紀夫(みしまゆきお) 080/Sh61/106
 人生は舞台のようなものであるとは誰しもいう。……わたしは楽天的に、とにかく演技をやり了(おお)せれば幕が閉まるものだと信じていた。

                注1 「目次」の内容は、『あらすじで読む日本の名著3』(小川義男編 楽書館発行)より
                   ここの目次にある各図書(原書)は、本学図書館にそろえてあります。

                注2 青字は、請求記号(本学図書館で原書を捜すときに参照してください)

                注3 永井荷風の『墨東……』の「墨」は、正しくは三水(さんずい)がつく。